プロテインによる緊急避難警報
僕の贅肉は根性がある。一日肉体労働をしても、いっこうにへこたれない。消費しても消費しても、なにくそ、と大和魂を発揮してくるのである(出されたおやつを食べてしまう自分の精神の弱さは別として)。炭水化物抜きダイエットでの雪辱をはらそうと、いつの間にか強い意志をもってしまったようだ。彼らの成長ぶりに感心である。
そこで意志薄弱な僕は、彼らに直接戦いを挑むのは止め、助っ人を呼ぶことにした。そう、筋肉である。助っ人とは卑怯極まりないと思われるかもしれないが、筋肉をつける努力をするのは僕なので、よくよく考えてみると、間接的ではない。
細かいことはさておき、そうと決まったら、筋肉をつけるための算段をとる。
運動であるが、これは全く問題ない。農業は体を使ってなんぼ。一日中フル稼働だ。特に今はキャベツの収穫期。休日など無い。毎日がエブリディ状態なのだ。しかも、仕事は重労働で、そうと言うのもキャベツは1玉2~3キロ。それを切り、積み、箱に詰める。箱は1箱約16キロ前後。さらにそれを積み上げる。ゆうに300箱はくだらない。筋肉を使わずして、一体何を使うのか。
だが、欲張りな僕はそれでもまだ足りない。もっと筋肉をつけたいと望む。余りある筋肉をつけ脂肪を減らしつつ、引き締まった美しい成人男性のボディを急速に作りたいのだ。そしてそれを後押しする存在を見つけた。プロテインである。
プロテインによる効力は2つある。
1つ目は、もちろん良質なタンパク質によって筋肉の増幅が加速すること。これで、マッチョマンも目前だ。
2つ目は、(ここが重要)休憩時間に飲むことによって、お腹が膨れ、満足感を得られることだ。おそらく、食べるお菓子の量が減るだろう。運動直後なので、効果も抜群。
つまり、運動した直後に飲むことで効率よく筋肉が作られ、お菓子が減ることで余計な脂肪が押さえられる。仕事にプロテインを合わせることで、一石二鳥なのである。我ながら恐ろしいことを思いついたものだ。
さっそくではあるが、昨日、プロテインを薬局で購入した。もちろん、牛乳も同時にだ。なんなら卵も買おうかとも思ったが、あまりおいしそうではなさそうなので、それは止めた。味は大切だ。
これから、筋肉がついてついて仕方がなくなることが予想される。体脂肪に緊急避難警報を発令しよう。
起床時間:5時30分
非情に素晴らしい。目覚まし音をアヒルの声にした甲斐があったというものだ。
体重:53・4キロ
体脂肪率:22・3パーセント
とりあえずの目標は体脂肪率20パーセント。体重計の調子によって多少の誤差はあるようだが、コンスタントに出るようになれば、達成と言うことだろう。